この記事を書いている4月29日現在、新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言は全国が対象となっています。5月6日の期限も延長の公算が高く、先の見えない状況が続いています。
経済活動が停滞し、ウイルスによる健康面の不安だけでなく、生活面の不安も重なり、悩んでいる事業者の方も多いと思います。
同じ「いち事業者」として、この困難な局面にどう立ち向かうべきかをまとめました。
【まず心を落ち着かせよう】
「これからどうなるんだろう」「昔はよかったのに」など、人間は辛い局面になると、どうしてもマイナスの感情がわきおこります。特に、今回のように自分ではどうしようもない外的要因によって起きた出来事の場合、心の持って行き場所がありません。
しかし、それでも心を落ち着かせましょう。残酷だけれど「それでも地球は回っている」のです。私たちはとかく「すべては自分の思い通りになる」と思いがちですが、現実は、思い通りにならないことばかりです。
私は預言者でも何でもありませんが、ひとつだけ絶対言えることがあります。それは「この世の中は、良くも悪くも、変化している」ということです。今の状況は、私たちにとって悪い状態ですが、この状態が未来永劫、ずーっと続くことは100%ありえません。
いずれ変化するのだから、そのために何をするか、考え、準備し、行動するのが合理的ではありませんか?
【資金の出入りを確認しよう】
このような状況では、資金繰りが重要です。
資金繰りの要点は「出を減らし、入りを増やす」です。
みなさんの口座から、毎月、どれくらいのお金が出て行っていますか?
不要不急の用途で出ているお金はないですか?
支払いを延ばせるものはないですか?
上記を確認し、お金の出をおさえましょう。
すると「どうしても出て行くお金」が残ります。
その次に、入ってくるお金を確認し、「毎月出て行くお金」がどれくらいか突き止めましょう。
【資金計画を立てよう】
資金の出入りを確認したら、おそらく、月々マイナスになると思います。
その不足分をどうするか、というのがポイントになります。
売上を増やせるのであればいいのでしょうが、それが難しい状況ですから、融資による資金調達を考える必要があります。
いまは国が緊急融資制度を設けています。日本政策金融公庫・信用保証協会・商工中金など、事業者を支援する体制があります。
「どれくらいの期間、備えればいいか?」という問題があります。これは「いつコロナが終息して元通りになるか?」という質問と同義であり、誰にもわからないというのが正直なところです。
このような場合、「資金計画は慎重に(=最悪のケースを想定)、全体計画はベストケースとワーストケースの2案を想定」というのがポイントになるかと思います。
現金は手厚く用意しておき、経営計画についてはいくつかのシナリオを考えて準備しておくと、対応しやすいです。
もちろん、お金を借りるのが唯一の答えではありません。
「これ以上の出血をしないために、いったん休業する」というのも経営判断のひとつですから、無理せず、納得のいく判断をしていただきたいです。
【売上を増やせないか考えよう】
資金の流出をおさえ、資金を確保したら、売上を増やす手段を考えます。
もちろん、いろいろ考えて結果の今の状況ですから、妙案がすぐに浮かぶわけではありません。
しかし、これも考え方の問題です。頭を柔軟に以下のような観点で検討してみましょう。
同業他社はどういう取組をしているか?
異なる業種・業界のやり方を取り入れられないか?
テレビやネットで取り上げられている取組はないか?
既存のお客さんはどういうことを求めているか?
友人・知人は何かアイデアをもっていないか?
自分ひとりでは煮詰まるようなら、相談窓口を利用するのも一手です。
言いたいのは「今までと同じことをしていたら、結果は変わらない」「結果を変えたければ、行動を変えるしかない」ということです。
【支援制度を使う】
このような困難な局面に立ち向かう事業者に対して、国はいろいろな支援策を用意しています。経済産業省のページにそれがまとまっています。
先に説明した融資制度も相談窓口もその一部です。
このような制度をうまく活用していただきたいのです。
情報は待っているだけでは入ってきません。自分で探し、自分で調べるのが大事です。内容がわからなかったら相談窓口に聞けばいいんです。
待っているだけだと、怪しい業者につけこまれてしまいます。
たしかに今は苦しい状況です。
しかし、この世の終わりではありません。
状況は変化し、いずれ上向くときがあります。
そのときまでしっかり耐え忍び、準備を整え、また、できる限りのことをすれば、必ずや乗り切れます。
必要以上にマイナスになることなく、心を落ち着かせて、一緒にこの困難を乗り越えていきましょう!
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